ピッチャーにとって肩や肘のケアは、シーズンを通じて安定した投球を続けるために欠かせません。その中でも近年、MLBやNPBの多くの投手が取り入れているのが「チューブトレーニング」です。ゴム製チューブを使ったシンプルな運動ですが、投球速度の向上、肩肘の安定性強化、故障予防、フォーム改善といった多くの効果が期待できます。
本記事では、ピッチャーのチューブトレーニングにおすすめの野球ギアや効果的な方法、頻度、注意点まで徹底解説。この記事を読むことで、あなたの疑問はすべて解消し、実践的なトレーニング法がすぐに理解できるはずです。
項目 | J-Bands | TheraBand | ミズノ チューブ | VRTX BAND |
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特徴 | MLB・NPB選手も使用、専用プログラムあり | 医療・リハビリ分野でも使用 | 野球用ブランド信頼性、国内メーカー製 | 布製ベースで肌あたりよく裂けにくい構造 |
強度調整 | 複数色で強度選択可 | 6段階以上 | 複数強度あり | 複数強度あり |
対象 | 小学生~プロ | 小学生~社会人 | 幅広く対応可能 | ジュニア〜大人まで幅広く対応 |
価格帯(目安) | 5,000〜7,000円 | 2,000〜4,000円 | 2,000円程度 | 2,500〜7,000円程度 |
おすすめポイント | 世界標準のアームケア、フォーム解説冊子付き | リハビリ~強化幅広く対応 | 信頼あるブランド、保証・サポート期待可 | 肌当たりが柔らかく、ゴムの刺激を抑える仕様。洗濯可能、裂けにくい構造あり |
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ピッチャーのチューブトレーニングにおすすめの野球ギア4選

プロも使用する本格派「J-Bands」、リハビリから強化まで幅広く使える「TheraBand」など、用途やレベルに応じた選択肢があります。初めて導入するなら価格・使いやすさのバランスに優れたモデル、継続的に活用するなら耐久性や専用プログラム付きのギアがおすすめです。
J-Bands


J-Bands は、Jaeger Sports 社が提供する野球・ソフトボール向けの専用アームケア用バンドで、11 種類のエクササイズを通じて、回旋筋群や肩甲帯・アーム周辺筋のバランス強化を目的としています。
年齢別にラインナップがあり、12 歳以下向けの「J-Bands Jr.」と、13 歳以上向けの通常タイプ/Elite 版があります。
特徴
- 投球前後のウォームアップ/リカバリーに使いやすい
グランドでも自宅でも使える携帯性と手軽さがあります。 - 11ステップによる包括的な刺激
外旋・内旋・水平動作・斜め動作など、投球に関わる方向性を網羅しており、単一方向の偏りを抑える目的で設計されています。(公式サイトで確認できます) - 故障予防・持続性重視
肩肘への負荷を分散しつつ、筋・腱・靭帯へのアプローチも可能なため、長期的なアームケアとして支持されています。 - NPB、MLBだけではなくアマチュアでも多用されている
多くの野球チームや投手育成プログラムで、J-Bands をアームケアルーティンの必須装備として採用しており、入門者から上級者まで活用されています。
TheraBand


TheraBand(セラバンド/セラチューブ)は、医療リハビリ由来の信頼あるブランドで、強度バリエーションや汎用性が優れた抵抗バンドです。色別に異なる強度レベルが揃っており、比較的軽負荷から高負荷まで幅広く対応します。ピッチャーの肩肘ケアにも応用しやすく、外旋・内旋・肩甲骨運動などに活用できます。
特徴
- 柔軟性と可動性の確保
軽~中強度のバンドで筋をゆるめながら可動域を広げたり、投球準備時の活性化に使いやすい。 - 段階的強化がしやすい
色別強度設定があるため、段階的に負荷を上げながらトレーニングを進められる。 - コストパフォーマンスが良い
入手性が高く、比較的安価で複数本揃えやすいため、補強系トレーニングに使いやすい。 - 汎用性が高い
アーム周りだけでなく、体幹・脚・上下肢など全身に応用可能な運動ができる点で便利なツールとなります。
VRTX BAND


VRTX BAND は、従来のラバーチューブとは異なり、布+ゴム素材を複合的に織り込んだメッシュ構造を採用した“メッシュ抵抗バンド(Mesh Resistance Band)”として知られています。
この布基盤素材により、肌あたりが柔らかくチューブバンド特有の「食い込み」や「巻き込み」・「肌への刺激」が抑えられており、長時間使用でも快適性を保てるというメリットがあります。
また、独自の織り構造(“Intelli-Weave Technology”と称される複合織構造)により、従来のゴムチューブと比べて切れにくさ・耐久性を高めている点も売りのひとつです。
特徴
- VRTX BAND は複数の強度レベル(例えば “#00”, “#1”, “#5-X-Heavy” など)を展開しており、その用途やトレーニング目的に応じて選べます。
- 強度レベルに応じて抵抗範囲(重量換算)が異なり、軽めのバンドはストレッチ~ウォームアップ、中〜強めは筋力強化目的でも使用できる範囲をカバーしています。
- 布素材ゆえに洗濯可能で衛生管理がしやすいという点も、長期使用を考える上でユーザーにとって嬉しいポイントです。
NPBやMLBでも取り入れているピッチャーのチューブトレーニングとは?



NPB・MLB双方で共通しているのは「チューブトレーニングは投球の前提作業」という認識。パフォーマンス準備と怪我予防の両立を可能にする、現代野球に欠かせないルーティンといえます。
世界標準となった投手のウォームアップルーティン
チューブトレーニングは、投球前後にゴム製バンドを使い、肩甲骨周りやローテーターカフを中心に刺激を入れる“アームケア”の基本。MLBのブルペンでは投手がバンドを使う姿が日常的に見られ、NPBでも定番の準備運動として広く導入されています。
代表的なメソッドとプロ現場での導入例
理学療法に基づく「Thrower’s Ten」や、J-Bandsの11ステップは代表的なプログラム。外旋・内旋・水平外転など投球動作を模した負荷を与え、投球筋群の可動性と安定性を高めます。NPBでも中日ドラゴンズが新人自主トレでJバンドを採用するなど、具体的な活用例が報じられています。
投球前後の実施タイミング
基本的には「投球前の準備」と「投球後のリカバリー」に分かれます。投球前は全身ストレッチ→チューブで肩・肘周りを起動→キャッチボールへ、という流れが定番。短時間でも神経系の活性化が可能です。投球後は疲労軽減や血流促進を狙い、軽めに実施するのが効果的です。
科学的根拠と効果
研究でも、チューブを含む抵抗トレーニングが投球速度や肩周り筋力の向上に寄与することが示されています。若年層向けには「改訂版Thrower’s Ten」が公開され、発育段階に合わせた安全な導入が推奨されています。
ピッチャーのチューブトレーニングの効果



チューブトレーニングは、投球速度アップ、肩肘の安定性向上、故障予防、フォームの安定、全身連動の強化といった多角的な効果を持つ、ピッチャーに欠かせないメニューです。プロ・アマ問わず導入されており、継続することでパフォーマンス向上とケガ防止の両立を実現できます。
投球速度(スローイング・ベロシティ)の向上
研究によれば、抵抗トレーニング(チューブを含む)は投球速度の向上に効果があると報告されています。11〜15歳の投手を対象に、週3回・4週間のチューブプログラムを導入した結果、平均球速が有意に上昇したというデータがあります。また、系統的レビューでも、チューブなどを用いた抵抗運動は投げるスピード強化に有効だと結論づけられています。つまり、投球動作に近い負荷を与えることで神経・筋連携を高め、球速アップにつながるのです。
肩・肘周辺の安定性と筋活動の最適化
チューブトレーニングは、肩のインナーマッスルや肩甲骨周りを効率よく刺激します。これにより、可動域と安定性のバランスを整え、投球動作時の筋協調性を向上させる効果があります。特に外旋・内旋運動や水平外転/内転を意識した動作は、投手に欠かせない肩関節の安定を支える大きな役割を果たします。
故障予防・リスク低減
ピッチャーにとって肩や肘の故障は致命的。チューブを使ったトレーニングは、投球で酷使される筋肉を補強し、靭帯や腱に過度な負担がかかるのを防ぎます。また、投球後に軽めのチューブ運動を取り入れることで血流を促進し、疲労回復を早める効果も期待できます。継続的に行うことで、シーズンを通じた故障リスクの軽減につながります。
神経筋の反応性改善(タイミング・協応性)
チューブを使うことで、加速・抵抗・減速の3つの動作をコントロールしながら行えます。これは実際の投球動作に近い刺激となり、神経筋の反応性やタイミングの改善に有効です。結果としてフォームの安定や制球力向上にも寄与します。単なる筋力強化にとどまらず、動作全体の質を高められるのが特徴です。
体幹・全身連動の強化サポート
チューブ運動は負荷が軽く安全性が高いため、肩や肘だけでなく体幹や下半身の安定性にも意識を向けやすいトレーニングです。正しいフォームで行えば、胴体・背中・腰・脚といった全身を連動させた“キネティックチェーン”を意識でき、投球動作に必要な全身のつながりを養うことができます。
ピッチャーのチューブトレーニングの方法



ピッチャーのチューブトレーニングは、外旋・内旋を中心に肩甲骨周りや胸筋、体幹まで幅広く鍛えることで、投球動作に必要な安定性と連動性を養います。正しい姿勢を保ち、回数・負荷を調整しながら継続することで、故障予防とパフォーマンス向上の両立が可能です。
基本姿勢のポイント
チューブトレーニングを行う際は、まず正しい姿勢を整えることが大切です。背筋を伸ばし、肩甲骨を軽く寄せることで肩周りの安定性を確保します。足は肩幅程度に開き、体幹を意識して立つことでブレを防ぎ、投球に近いフォームでトレーニングを行う準備が整います。
外旋・内旋運動
最も代表的な種目が肩の外旋と内旋です。肘を体側に固定し、90度に曲げた状態でチューブを引きながら外側・内側に動かします。外旋ではインナーマッスル(棘下筋・小円筋)、内旋では肩甲下筋を重点的に鍛えることができ、投球動作における肩の安定性を高めます。
肩甲骨周りのトレーニング
肩甲骨を動かすエクササイズも重要です。チューブを前方に構えた状態から、肘を軽く曲げて後方に引く「リトラクション動作」は、僧帽筋中部・菱形筋を刺激し、投球時の肩甲骨の安定化につながります。これにより、リリース時のブレを減らし制球力改善が期待できます。
水平外転・水平内転
チューブを肩の高さで持ち、腕を横方向に広げるのが水平外転、内側に寄せるのが水平内転です。これらは三角筋後部や胸筋群を強化し、投球動作の振りかぶりやリリース時の力伝達をスムーズにします。
前方プレスと斜め動作
チューブを体の後方に固定し、前方に押し出す動きは肩前部や胸筋を強化します。また、斜め方向へのプレスや引き動作を加えることで、体幹から腕へと力を伝える連動性を高められます。これらは投球フォーム全体の安定性に寄与します。
実施回数と時間の目安
各種目は10〜15回を1セットとし、2〜3セット程度行うのが一般的です。投球前は短時間・軽負荷で神経と筋肉を活性化し、投球後は中強度・やや長めに行うことでリカバリーをサポートできます。フォームを崩さず、無理のない範囲で継続することが重要です。
ピッチャーのチューブトレーニングの頻度



ピッチャーのチューブトレーニングは、投球前に短時間・軽負荷、投球後にリカバリー目的で軽く、週2〜3回を目安に取り入れるのが基本です。シーズン中は肩肘の安定維持、オフシーズンは筋力強化と目的を切り替えることで、効果を最大化し故障予防にもつながります。
投球前のウォームアップとして
試合や練習前に軽めのチューブトレーニングを取り入れるのが効果的です。外旋・内旋、肩甲骨のリトラクションなどを1種目10〜15回程度、2〜3分行うだけで、肩周りの筋肉をスイッチオンでき、投球動作に備えることができます。ウォームアップでは負荷を軽くし、スピードと正確なフォームを意識することが重要です。
投球後のリカバリーとして
投球後は血流促進や疲労軽減を目的に、チューブを使った軽めの動作を5〜10分程度取り入れると効果的です。強い負荷ではなく、可動域を広げるようなストレッチに近い感覚で実施します。これにより肩・肘にたまった疲労を流し、リカバリーを早めることができます。
週単位での頻度目安
シーズン中は週2〜3回程度を目安に継続すると良いでしょう。特に投球日以外の軽練習日やオフ日に取り入れることで、肩の安定性を維持しつつ無理なく続けられます。高校生以上で筋力強化を目的とする場合、オフシーズンに週3〜4回程度取り入れても問題ありませんが、やり過ぎは疲労蓄積につながるため注意が必要です。
年齢やレベルによる調整
小中学生や投球数が少ない選手は、毎日少しずつ短時間(1〜2種目・3分程度)行う形が推奨されます。逆にプロや大学以上の投手は、トレーニングと投球負荷のバランスを考慮しながら、コンディションに応じて頻度を調整します。トレーナーや指導者と相談し、個々の身体状況に合ったスケジュールを組むことが大切です。
シーズン中とオフシーズンの違い
シーズン中は「維持・予防」が目的のため軽めで高頻度に、オフシーズンは「強化」が目的のため週3〜4回の本格的なセッションを取り入れるのが理想的です。こうした使い分けにより、年間を通じてパフォーマンスを維持できます。
ピッチャーのチューブトレーニングの注意点



ピッチャーのチューブトレーニングは、フォームの正確性・適切な負荷・痛みへの即時対応・道具の管理・投球スケジュールとの両立が重要です。安全に継続することで、初めて故障予防やパフォーマンス向上という効果が最大限に発揮されます。
正しいフォームを守ること
チューブトレーニングは負荷が軽いため、つい雑に動かしてしまいがちです。しかしフォームが崩れると、狙った筋肉に刺激が入らず、効果が半減します。肘を体側に固定する、肩甲骨を意識するなど、常に正しい姿勢を意識しましょう。
過度な負荷を避ける
強いチューブを無理に使うと、肩や肘の関節に過剰なストレスがかかります。特に投球前は軽負荷での活性化が目的であり、筋力強化を狙った高負荷は逆効果になる場合があります。目的に応じてチューブの強度を選ぶことが大切です。
痛みが出たら中止する
トレーニング中に肩や肘に鋭い痛みを感じた場合は、すぐに中止してください。「少しの痛みなら我慢」という考え方は故障の原因になります。違和感を放置せず、必要に応じてトレーナーや医師に相談することが安全です。
呼吸と反動に注意する
力んで息を止めたり、反動をつけて動かすと、関節や筋肉に負担が集中します。動作はスムーズに行い、呼吸を止めずに「引くときに吐き、戻すときに吸う」を意識すると安全で効率的です。
チューブの劣化をチェックする
ゴムチューブは使い続けると劣化して切れやすくなります。小さな亀裂や伸びが見られる場合はすぐに交換し、破損によるケガを防ぎましょう。定期的な点検と買い替えも大切なトレーニング管理の一部です。
投球スケジュールとのバランス
投球直後や疲労が強い日に高強度で行うと、かえって回復を妨げることがあります。投球数・登板間隔・試合日程などを考慮し、コンディションに合わせて頻度と強度を調整することが重要です。
まとめ
項目 | J-Bands | TheraBand | ミズノ チューブ | VRTX BAND |
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特徴 | MLB・NPB選手も使用、専用プログラムあり | 医療・リハビリ分野でも使用 | 野球用ブランド信頼性、国内メーカー製 | 布製ベースで肌あたりよく裂けにくい構造 |
強度調整 | 複数色で強度選択可 | 6段階以上 | 複数強度あり | 複数強度あり |
対象 | 小学生~プロ | 小学生~社会人 | 幅広く対応可能 | ジュニア〜大人まで幅広く対応 |
価格帯(目安) | 5,000〜7,000円 | 2,000〜4,000円 | 2,000円程度 | 2,500〜7,000円程度 |
おすすめポイント | 世界標準のアームケア、フォーム解説冊子付き | リハビリ~強化幅広く対応 | 信頼あるブランド、保証・サポート期待可 | 肌当たりが柔らかく、ゴムの刺激を抑える仕様。洗濯可能、裂けにくい構造あり |
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ピッチャーのチューブトレーニングは、MLBやNPBでも取り入れられている実績あるトレーニング方法であり、投球前のウォームアップや投球後のリカバリーに欠かせないメニューです。外旋・内旋運動を中心に肩甲骨周りや体幹まで鍛えることで、投球速度の向上・肩肘の安定性強化・故障予防・フォーム改善といった多面的な効果が期待できます。
また、頻度としては投球前後に短時間、週2〜3回を目安に行うのが基本。オフシーズンには強化目的で回数を増やし、シーズン中は維持・予防に重点を置くなど、時期や目的に応じた調整が重要です。さらに、正しいフォームで無理のない負荷を選び、道具の点検やスケジュールとのバランスをとることで、安全かつ効果的に継続できます。
つまり、チューブトレーニングは「パフォーマンスアップ」と「ケガの予防」を同時に叶える、現代投手に必須のセルフトレーニングです。日々のルーティンに取り入れることで、シーズンを通じて安定した投球を実現できるでしょう。





