ピッチャーにとって、登板後のケアはパフォーマンスを維持し、怪我を防ぐために欠かせません。しかし「どんなケア用品を揃えればいいのか」「正しい使い方は?」「プロは何を使っているのか」と迷う方も多いはずです。
本記事では、ピッチャーにおすすめのケア用品を厳選して紹介するとともに、その効果や選び方、正しい使い方、プロ選手の実践例まで徹底解説します。この記事を読めば、ケア用品選びで失敗することなく、自分に最適なケア方法を見つけられます。

ケア用品を正しく選び活用することが、ピッチャーの球速・コントロール・怪我予防を支える最大の秘訣です。
ピッチャーにおすすめのケア用品8選
McDavid
コンディショニング スリーブ MA104
ピッチャーにとって、手腕を酷使する投球動作の後や連戦・遠征時にはコンプレッションスリーブ/タイツはもはや必須レベルと言えます。挙げたモデルはコスパ重視~プロ志向まで幅広くそろっており、自分の体質・用途(回復重視かパフォーマンスキープか)に応じて選べます。まずは1枚、良質なスリーブを持っておき、使い続けることが差を生みます。
Zamst
アイスバッグ
冷却・温熱のケア用品は、ピッチャーにとって最も身近で効果が実感しやすいリカバリー手段です。登板直後のアイシングは炎症を抑え、翌日の温熱ケアは血流を促して可動域を回復させるといったように、状況に応じた使い分けがポイントになります。
特に「ZAMST アイスバッグ」のような定番モデルのように1,000円台から導入できるため、初めてのケア用品としてもおすすめです。正しい使い方を習慣化することで、疲労回復・怪我予防・パフォーマンス維持のすべてに直結する“投手の必須アイテム”と言えるでしょう。
TRIGGERPOINT
GRID 2.0 Foam Roller
フォームローラー/振動ローラーは、投手が「投球→回復」のサイクルを効率的に回すために非常に役立つアイテムです。ピンポイントでの筋膜リリースや広範囲のこわばりケア、可動域改善までカバーできるので、練習後・登板前後・遠征時など様々な場面で使い分けが可能です。
特に振動タイプは回復スピードを上げたい投手におすすめですが、静的フォームローラーの練習部分のほうがコントロールやフォームの崩れの防止に寄与するという側面もあります。まずは GRID 2.0 のような定番モデルをベースに、必要に応じて振動ローラーを補助アイテムとして導入するのがコスパも使い勝手も良い戦略です。
Hyperice
Hypervolt Bluetooth
マッサージガンは、ピッチャーの「投球後のリカバリー」「肩・背中・前腕のこわばり解消」「可動域維持」に直結する強力なケアツールです。従来のフォームローラーでは届きにくい深部まで刺激できる点が大きな魅力で、練習量の多い投手や連戦が続くシーズンには特に効果を発揮します。
MYTREXやHypervoltのような信頼性の高いモデルは、毎日のケアを安定的に支えてくれる一方、エントリーモデルでも十分に回復サポートを体感できます。重要なのは「部位に合わせた適切な強度調整」と「短時間での使用」を守ること。正しく取り入れることで、疲労を蓄積させずに次の投球へつなげられる、投手に欠かせないリカバリーアイテムと言えるでしょう。
J-Bands
アームケア用チューブ(J-Bandsなど)は、投手にとって「肩・肘の故障予防」と「投球パフォーマンス維持」を両立できる最重要アイテムです。特別な設備を必要とせず、アップやクールダウン、さらにはリハビリ段階でも幅広く使える汎用性が大きな魅力。毎日のルーティンに短時間取り入れるだけで、フォームの安定性や持久力の向上につながります。コストも低く継続しやすいため、年代やレベルを問わず、すべてのピッチャーにとって“習慣化すべきケア用品”と言えるでしょう。
TRIGGERPOINT
トリガーボール
トリガーボールは、投手のケア用品の中でも“コスト以上の効果”を得られるアイテムです。シンプルながら深部までしっかりアプローチできるため、肩甲骨まわりや前腕といった故障リスクの高い部位をセルフケアできるのが大きな強み。
フォームローラーやマッサージガンでは届きにくいポイントを補完できるので、既に他のケア用品を持っている選手にとっても有用です。携帯性にも優れており、練習場や遠征先でもすぐに使えることから、日常的なケアを習慣化したい投手には欠かせない存在と言えるでしょう。
テーピング(キネシオ)
テーピング(キネシオ)は、即効性があり使い勝手の良いケア用品です。完全な治療効果やパフォーマンス向上を保証するものではありませんが、違和感の軽減や安心感の提供といった補助的役割として非常に優秀。特に試合前後に簡単に取り入れられるため、練習量が多い投手や違和感を抱えやすい投手にとって心強いサポートアイテムになります。正しい貼り方を理解し、必要に応じてトレーナーや専門家の指導を受けることで、その効果を最大限発揮できるでしょう。
ドライブラインベースボール
パルススロー
モニタリング系ケア用品(トルクセンサー付スリーブなど)は、従来の「感覚頼り」のケアから一歩進み、数値で投球を管理する時代を切り拓くアイテムです。価格は比較的高めで、導入ハードルはありますが、怪我の予防や長期的なパフォーマンス維持を考えると非常に価値が高い投資といえます。特に肘・肩の故障歴がある投手や、練習量の多い学生・社会人投手には有効で、チーム単位で導入することで効果を最大化できます。


ピッチャーが揃えたいケア用品の種類と効果
ケア用品 | 主な効果 | 使用タイミング・ポイント |
---|---|---|
コンプレッション系(スリーブ・タイツ) | 筋肉疲労の軽減、血流促進、浮腫予防 | 登板後〜就寝時、遠征時の移動中に有効 |
冷却・温熱(アイスバッグ/温熱パック) | 冷:炎症抑制・痛み軽減温:可動域改善・こわばり緩和 | 投球直後は冷却、翌日以降は温熱でリカバリー |
フォームローラー/振動ローラー | 筋膜リリース、DOMS軽減、柔軟性向上 | 肩甲帯・広背筋・臀部・下肢のケアに最適 |
マッサージガン | 筋緊張緩和、柔軟性向上、血流改善 | 練習前は短時間で可動域づくり、練習後は弱刺激で回復サポート |
アームケア用チューブ(J-Bandsなど) | 肩回り・肩甲帯の強化、投球障害予防 | ウォームアップやクールダウン時に継続活用 |
トリガーボール(ラクロスボール等) | ピンポイントで筋硬結を解消、可動域改善 | 小円筋・前腕屈筋群などフォームローラーが届きにくい部位に |
テーピング(キネシオ) | 痛み知覚軽減、サポート感向上 | 練習や試合中の補助的サポートとして活用 |
モニタリング系(トルクセンサー付スリーブ等) | 投球負荷を可視化、故障リスク管理 | 投球量・肘トルクを数値化し、過負荷の回避に役立つ |
コンプレッション系(アームスリーブ・ロングタイツ)
運動後の筋機能回復を早め、むくみや筋肉痛の軽減に有効。メタ解析では24時間以降の筋力回復や主観的疲労の低減が示唆されています。登板後〜就寝時の着用で回復促進、遠征中の浮腫対策にも有用。
冷却・温熱(アイスバッグ/コールドスリーブ/温熱パック)
アイシングは痛み緩和と短期回復に一定の効果が報告。温熱は筋温を上げ可動域・痛みの改善に役立ちます。状況に応じて使い分け(投球直後は冷、翌日以降のこわばりは温)が実践的。
フォームローラー/振動ローラー
筋膜リリースで可動域の改善とDOMS(遅発性筋痛)の軽減に寄与。振動機能つきは痛み閾値の改善や主観的疲労の低下が報告されており、肩甲帯〜広背筋〜臀部まで“投球チェーン”全体のケアに有効。
マッサージガン
短時間で筋緊張を緩め、柔軟性向上や痛みの軽減に効果が示唆されています。練習前は短時間で可動域づくり、登板後は弱設定で血流促進と回復サポートに。骨突起や肘内側は避け、筋腹中心に使用。
アームケア用チューブ(J-Bands など)
ローテーターカフと肩甲帯周囲の耐久性・柔軟性を高め、投球障害の抑制に役立つプログラムが推奨されています。アップ・クールダウンに組み込みやすく、遠征先でも継続可能。
トリガーボール(ラクロスボール等)
肩甲下筋・小円筋、前腕屈筋群のピンポイント圧で筋硬結を緩め、可動域を回復。フォームローラーが届きにくい部位のセルフケアに適します(使用は短時間・痛み過多は避ける)。 (一般的理学療法の実践に基づく補足/特定研究の一貫結論は限定的)
テーピング(キネシオロジー)
痛み知覚の低減など一部で効果報告はあるものの、パフォーマンス向上の確証は限定的。サポート感や皮膚刺激による“使い過ぎ抑制”の目的で補助的に。
モニタリング系(トルクセンサー内蔵スリーブ等)
投球時の肘トルクやワークロードを可視化し、オーバーロードを回避。プロでも導入例があり、継続管理の一手になります(試合中の運用ルールは競技規定に依存)。



上記のケア用品を
・回復(圧・冷温・ローラー/ガン)
・整える(チューブ・トリガー・テープ)
・管理する(モニタリング)
の3系統で揃えると、登板前後のルーティンを設計しやすく、回復スピードと再現性の両立が図れます。
失敗しないケア用品の選び方
自分の目的を明確にする
ケア用品は「疲労回復」「怪我予防」「可動域改善」など用途によって最適なものが異なります。例えば、登板直後の炎症ケアにはアイスバッグ、肩回りの筋力維持にはチューブトレーニングといったように、自分が解決したい課題を明確にして選ぶことが大切です。
科学的根拠や実績をチェックする
ケア用品の中には体感的な効果が中心のものもあります。レビューや宣伝だけでなく、スポーツ医学的な研究結果や、プロ・大学野球など競技現場での実績があるかを確認すると安心です。マッサージガンやコンプレッションウェアは複数の研究で効果が示されている代表例です。
使い勝手と継続性を重視する
どんなに効果的でも扱いにくければ続きません。持ち運びやすさや操作性、自宅・遠征先での使用しやすさを考慮することが重要です。フォームローラーやトリガーボールのように“置き場所を選ばずすぐ使える”ものは継続率が高い傾向があります。
価格と耐久性のバランスを見る
高額な機器が必ずしも最適とは限りません。自分の練習頻度やケア習慣に見合ったコストパフォーマンスを意識しましょう。特に消耗品(アイスバッグ、テーピング)は継続コストも考慮する必要があります。
専門家のアドバイスを取り入れる
肩や肘に違和感がある場合は、自己判断で器具を使うよりも、まず整形外科やトレーナーに相談することが推奨されます。適切な指導のもとで正しいケア用品を選ぶことで、怪我のリスクを減らし、効果を最大化できます。



「なんとなく良さそう」で選ぶのではなく、目的・根拠・使いやすさを基準にすることで、失敗せずに自分に合ったケア用品を揃えられます。
プロ野球選手も使っているケア用品
アイスバッグ・アイシングスリーブ
プロ野球選手の定番ケア用品。登板後に肩や肘を冷却し炎症や腫れを抑える目的で広く使われています。特に投手はベンチやロッカールームでアイシングを行う光景が日常的に見られ、リカバリーの基本アイテムとされています。
コンプレッションウェア
アンダーアーマーやZAMSTなどのコンプレッションスリーブやロングタイツは、登板後の疲労軽減や血流促進に利用されています。プロ選手の遠征や移動時にも着用例が多く、むくみ防止や翌日のパフォーマンス維持に役立っています。
フォームローラー・マッサージガン
大谷翔平選手をはじめ、MLBやNPBの選手のトレーニング映像にも頻繁に登場。遠征先や球場のロッカーで使用し、筋膜リリースや筋緊張の緩和を目的に導入されています。短時間で可動域を確保できるため、投球前後のルーティンに組み込む選手も多いです。
アームケア用チューブ(J-Bands)
メジャーリーグを中心に、ローテーターカフ強化と肩の安定性維持に使われるゴムチューブ。日本人投手でもキャンプや試合前のウォームアップで愛用している姿が確認されます。肩・肘の怪我予防としてプロのスタンダードなケア用品。
電気刺激機器(EMS/低周波治療器)
リカバリー重視の選手が積極的に取り入れているケアツール。遠征時や試合後の疲労抜き、血流促進に役立ちます。球団トレーナーが常備しているケースもあり、プロ仕様のリカバリー機材として活用されています。



プロ野球選手が使うケア用品は「冷却」「圧迫」「筋膜リリース」「筋力維持」「回復促進」と目的ごとに明確に分かれており、一般プレーヤーも取り入れやすいものが多いです。自分の体の状態や練習量に合わせて、プロが実践するケアを参考にすると効果的です。
ピッチャーが知っておきたいケア用品の使い方
アイスバッグ・冷却スリーブの使い方
登板直後の肩や肘は炎症反応が起きやすいため、15〜20分を目安に冷却します。氷を直接肌に当てると凍傷の危険があるので、必ずタオルや専用カバーを挟んで使用しましょう。冷やしすぎは血流を妨げるため逆効果になる点に注意が必要です。
コンプレッションウェアの使い方
試合後や移動中に長時間着用することで血流を促し、むくみや疲労感を軽減します。就寝時に使用する選手もいますが、圧が強すぎると逆に循環を妨げるため、体に合ったサイズを選ぶことが大切です。練習前よりもリカバリー目的での利用が基本です。
フォームローラー・マッサージガンの使い方
ウォーミングアップ時は短時間(10〜20秒程度/部位)で軽く刺激し、可動域を確保。クールダウン時はやや時間をかけて筋膜リリースを行い、疲労物質の排出を促します。マッサージガンは骨や関節を避け、筋肉の厚い部分に使用するのが安全です。
アームケア用チューブの使い方
肩のインナーマッスル(ローテーターカフ)や肩甲骨周りを鍛える種目を、投球前後に10〜15分程度取り入れます。アップでは軽い負荷で動きを確認し、クールダウンでは可動域を意識して丁寧に行うのがポイント。毎日継続することで故障予防につながります。
トリガーボールの使い方
小円筋や広背筋、前腕の張りが強い部位に当て、30秒ほど圧をかけて緩めることで筋硬結を和らげます。強く押しすぎると逆に筋を痛めることがあるため、“気持ちよい痛み”程度を目安に使用しましょう。
EMS・低周波治療器の使い方
筋肉に電気刺激を与えることで血流を促進し、疲労回復を助けます。投球後や休養日に15〜20分程度利用するのが一般的です。医療機器に準じるため、持病や怪我がある場合は必ずトレーナーや専門家の指導を受けることを推奨します。



ケア用品は「いつ・どのくらい・どの目的で使うか」が効果を左右します。正しい使い方を習慣化することで、疲労回復・怪我予防・パフォーマンス維持に大きな差が生まれます。
ピッチャーに重要なケア方法と注意点
登板直後は「冷却」で炎症を抑える
投球後の肩や肘は炎症が起こりやすいため、15〜20分を目安にアイシングを行いましょう。ただし冷やしすぎは血流を妨げて回復を遅らせる可能性があるため、適度な時間を守ることが大切です。
翌日以降は「温熱」で血流促進
登板翌日以降のこわばりや筋肉の張りには、温熱パックや入浴による温めケアが有効です。血流を促すことで老廃物の排出を助け、可動域を回復させやすくなります。冷却と温熱を状況に応じて使い分けることがポイントです。
可動域を保つストレッチとセルフリリース
股関節・肩甲骨・体幹の柔軟性を維持するため、動的ストレッチやフォームローラーを日常に取り入れましょう。硬さを残したまま投げ続けるとフォームの再現性が下がり、肩や肘に負担が集中します。
肩周りの強化とケアを両立
アームケア用チューブを用いたインナーマッスル強化は、故障予防に直結します。筋肉を強化しつつ、練習後はトリガーボールやマッサージガンで疲労を取り除くなど、負荷と回復のバランスを意識しましょう。
無理をしない・痛みを放置しない
「少しの違和感だから大丈夫」と投げ続けることが一番危険です。違和感や痛みがある場合は投球を控え、早めに専門家に相談することが長期的なキャリアを守ります。



ケアは「投球後の炎症コントロール」「翌日の回復促進」「日常的な可動域維持」の3つを柱に行うことが重要です。冷却・温熱・ストレッチ・筋力強化を適切に組み合わせ、痛みがある時は無理をしない。この基本を守ることで、ピッチャーとして長く活躍できる体を維持できます。
まとめ
ピッチャーにとってケア用品は、単なる補助アイテムではなく「パフォーマンス維持」と「怪我予防」のための必需品です。登板直後の炎症を抑えるアイシング、翌日のこわばりを取る温熱ケア、日常的なストレッチやフォームローラーによる可動域維持、さらにチューブを使ったインナーマッスル強化など、目的に応じて正しく使い分けることが大切です。
また、プロ選手も実践するように「冷やす・温める・動かす・整える」のサイクルを習慣化することで、球速・コントロール・耐久力が安定し、長期的なキャリアを支えます。自分の体に合ったケア用品を選び、継続的に取り入れることが、投手としての成長を後押しする最良の方法です。